浅野友理子「植物は巡る」
猪苗代町立翁島小学校 壁4面 天井
水干絵具 アクリル絵具 灰
あじわう
猪苗代湖の周辺を歩きながら、いくつもの植物に出会った。
植物たちは秋を迎えて種を落とし始めていた。
湖面に浮かぶ黄色いアサザの花は、湖をきれいにしてくれている。
アサザの手前には、増えすぎた菱の葉が張り巡らされていた。
菱の実は厳しい冬の湖で春を待って、夏には一面に咲き始める。
秋になると腐敗し、砂浜がヘドロのようになる。
菱を拾おうと湖に向かって歩き始めると、足元が底なし沼のように沈んでいった。
夏の終わり、翁島小学校の子どもたちに混ざり、菱の回収作業に参加した。
休憩時間にはみんなでスイカを御馳走になった。回収した菱の堆肥から作られたスイカだそうだ。
菱を回収した場所にはアサザを植える。子どもたちは毎年、アサザの種の一部を採集してくる。その手で育てられた苗はふたたび湖へと帰っていって、また花を咲かせる。
私は今、学校の壁に、この土地で出会った植物を描いている。
子どもたち、先生方、訪れる人々とのやりとりが、筆を動かしていく。
植物たちは絵の中で巡りあい、ふたたび芽吹き始めている。
浅野友理子
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ワークショップ「湖の植物を描く」