2021

大小島真木「呼吸−Breathing−」

猪苗代町立吾妻中学校　W670cm×D840cm×H300cm　壁４面

アクリル絵具　塗料

 

あじわう

 

 

この地に染み渡る水は雪解け水、やがて土から滲み出て湧き水となる。 安達太良山から硫黄川、酸川へと硫黄が流れていく。 長瀬川が酸川と混ざった時、川は赤くなる。鉄の赤だ。僕たちの身体にもたくさんの水が流れている。川は僕たちの血だろうか。

 

山は生きている。磐梯山は手長足長となり、太陽を隠し、雨を降らし、風を起こす。高い山には神さまが住んでいる。山々は息を吹く。この地そのものが山々の息吹と共にずっと動き続けている。

 

カルデラ大地に根付いたアカマツに集まってくる鳥、虫、微生物、菌たち。さまざまな生き物たちの糞や死骸、落ち葉が混ざり、腐葉土が作られ、カルデラの大地は少しずつ変化していく。 やがて飛んできた種が腐葉土に根付く。 新しい命がそこに芽吹いていく。 Human ヒューマン（人間）の語源はHumus フムス（腐葉土）だという。僕たちもまた土に芽吹く命だろうか。

 

山々を見上げ、水の流れを辿りながら、この大地のことを思う。連鎖していく命の営みに僕たちの身体を重ねる。大地を抱く。大地に抱かれる。僕たちはこの地で、呼吸する。

大小島真木

 

 

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